「やりがいのある仕事という幻想」という森博嗣さんが書かれた本を読みました。
書店で目にし、「え!?」とそのタイトルに惹かれます。お次にパラパラとまえがきを読みます。好感がもてたので、森博嗣さんの経歴を見ます。
「工学博士」とあり、さらに「仕事量は1日1時間」と、私の心はわしづかみにされ、ハイ購入(笑)
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読んでみて良かったと思ったので、おススメしたい本です。これまでの自分や、転職で悩む子供のことを照らし合わせながら読みました。
というわけで「やりがいのある仕事という幻想」を読んだ、私なりの感想を書かせていただきますね。
探し求めていた「やりがいのある仕事」とは?
私はここ10年くらい「自分磨き」だの「自分探し」だの「私が好きな物や好きなこと」に「やりがいのある仕事」を求めてずっと過ごしてきました。
で結局、「自分磨き」は飽き、「私が好きな物や好きなこと」はけっこう分かるようになってきて満足したのですが、私にとって「やりがいのある仕事」と言えるものが見つかっていません。
今は半分諦めていますが、それでもまだ「やりがいのある仕事」がどっかにないかな~と気づけば探しているような気がします。
私にとって「やりがいのある仕事」とは、よくいわれるライフワークのようなもの。さらに細分化すると、
- 自分がやってみたい仕事
- 自分がやっていて飽きのこない仕事
- 自分がやっていて楽しい仕事
- お金をいっぱいもらえる仕事
- 誰かに喜んでもらえる仕事
- 他人に胸を張っていえる仕事
こうやって書き出してみると、つまりは自分に都合の良い仕事のことのようですね。。
そんな私にとっての「やりがいのある仕事」という定義が、この本の中では軽く全否定されていて少々ショックを受けます。
そして著者は、多くの人が勘違いをしているといいます。
「やりがいのある仕事」とは、まずそれができるために勉強が必要であり、多くの失敗からの知識や技術の積み重ねにより新しいものを取り入れたり改善したりといった、手ごたえのある仕事を指すようです。
昔の私は「やりがいのある仕事」なんて求めていなかった
本の中で度々「こういうと身も蓋もない」と書かれているのですが、なかなかその通りであり、私のキラキラした憧れは読み進むにつれ壊れていったのです。
それと同時になぜか気持ちが軽くなり、「なんだ、今までの仕事でも良かったんじゃないか・・」と気づくのでした。
短大を卒業してすぐに就職したけれど、楽しいのは給料日だけ。仕事にやりがいなんて感じませんでした。休日にやりたいことや欲しい物のために働いていました。その頃はそれを、とくに問題視していなかった気がします。
どんな仕事でも仕事はやりがいのあること
仕事におけるモチベーションは第一に賃金を得ること、そして次には、仕事を覚えること(技術的な成長)だと思う。
私もそんなふうに思ってました。
でも、仕事の時間は日常の大半をしめます。できれば楽しく飽きがこないことをやりたいな~と思うようになったのですね。
ですが、本にはこう書いてあります。
「楽しくて仕方がない、なんて仕事はない」
ホント、身も蓋もありません・・が、ちゃんとヒントも書かれていますよ。
仕事の基本はその交換にある。例えば仕事以外でほんとに楽しいこと、人生を捧げられるような対象を見つけたら毎日が楽しくなるし、その毎日を支えるものとして仕事だって楽しく思えるようになるだろう。
「交換」とは、仕事をすることで得られるお金で自分のしたいことができたり、買いたいものが買えるということですね。「交換」しているということを仕事中にも度々思い出すことで、仕事も楽しくなるというわけです。
まあ、「お金」がないと何もできませんからね。。
やりがいや楽しみに関しては、探して見つかるものではない。自分で作っていく、育てていくもの。
自分がやりたいことのために仕事をしてお金を稼ぐ。それはやりたいことへの準備であり、そうであれば、仕事もやりがいのあることだと書かれています。
森博嗣さんは好きな仕事で成功したわけではない?
著者の森博嗣さんは、好きな仕事で成功されたのかと思ったらそうでもないようですよ。
お父さんの跡を継ごうとなんとなく工学部に進み、いつのまにか研究者となり、好きなことのためにお金が必要だったので小説を書いたらあたったのだそうです。
小説を書くことが好きなわけでもないけれど、お金が稼げているので社会貢献はできているだろうと。
目の前にあるもので自分が金を稼げそうなことに手を出しただけである
ここに成功の秘訣があるのかもしれませんね。
とはいえ、その成功は人によりけりで、いろんな形がありますよね。でも、すぐに人と比較してしまうから、実は成功しているのに、自分では成功と思えないのかもしれません。
「やりがいのある仕事」を見つけようとしている人へのアドバイス
あと、転職を重ねている息子への助言のような言葉もありました。
希望する仕事につけないと悩んでいる人はとりあえずできる仕事をすれば良いと思う。バイトでも良い。
おーバイトでもいいんですね!!20代後半でのバイトって母は、ちょっと恥ずかしいと思っておりました。。
元気なんか無理に出さなくてもいいから、ちょっと元気のある振りをして、ちょっと笑っている振りをして、嫌々でも良いから仕事をしてみたら?それで金を稼いで、あとでその金を好きなことに使えば良い。
え?結局そこ?って感じです。本当にこの本では、身も蓋もないと感じてしまうことがいっぱい書かれていました(笑)
ぜもなぜか、ホッとするんですよね。なんだ~それでいいのか~って。
情報化社会の新化は便利だが、問題も作りやすい
考えてみると、情報化社会が進み、自分で問題を作っていたようなものなのかな~と。
自分はとくに問題のない仕事をしているのだけれど、ネットの中のあの人はキラキラ輝いて楽しそうにやりがいのある仕事をしている。書店で見かける本でも「やりがいのある仕事」こそが人生の目的みたいなことが書かれているのを目にします。私もそうありたいと思う気持ちがどんどん強くなって、でもできないから、息苦しくなっていたようです。
なにしろ、巷での「やりがいのある仕事」の定義さえ、あやふやなのですからね。
情報化社会の真っただ中にいる息子も同じなのかもしれません。しかも、「やりたい仕事をしたほうがいいよ!」と、私がそれに拍車をかけたようなものです。
思った通りの就職ができずに悩んでいる人や、仕事のやる気が出なくて悩んでいる人、このままこの仕事でいいのだろうか?と思い煩っている人にぜひ、おススメしたい本です。
→「やりがいのある仕事」という幻想(楽天にて)